【書感/SF】図書館戦争(有川浩)
図書館法第四章 図書館の自由
第三十条 図書館は資料収集の自由を有する。
第三十一条 図書館は資料提供の自由を有する。
第三十二条 図書館は利用者の秘密を守る。
第三十三条 図書館はすべての検閲に反対する。
第三十四条 図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立して三十年。あらゆる出版物、電波放送は、メディア良化法を根拠としたメディア良化委員会の代執行組織、良化特務機関の検閲を受けていた。一方、図書館法を根拠として、あらゆる検閲を退けあらゆるメディアを収集し、市民に供してきた図書館は、メディア良化委員会の唯一の敵となる。双方の反目は激化し、武装化の一途をたどった。
遅まきながら読みました。
作中で図書館法の元となったとされる「図書館の自由に関する宣言」ですが、現実にあります。過去には 中国の焚書坑儒、ナチスドイツのbibliocaust。現代でも、ロシアや中国・北朝鮮等のメディア規制、日本にも、メディアの規制(よくわからん自主規制も含む)はあります。むしろ、規制の無い国の方が少ないでしょう。 なんてことを考えると、図書館の「武装化」という設定も、決して荒唐無稽ではありません。なにかと考えさせられますね。
そんなハードな世界観ながらも、ボーイミーツガール(というかガールミーツボーイですね)なラブコメ要素もふんだんに盛り込まれていてサクサク読めます。まずは、肩の力を抜いて読んでください。
【書感/SF】二重螺旋の悪魔(梅原克文)
人間のDNA内のジャンク情報だと認識されていたイントロン。そこには怪物が封印されていた。遺伝子操作監視委員会の「C部門」の調査官・深尾直樹は、その怪物を呼び寄せてしまったライフテック社に向かう。深尾は以前勤めていた企業で自分自身でこの怪物GOOを蘇らせたことがあったのだ。ライフテック社には、深尾がGOOを蘇らせた企業で知り合った昔の彼女の梶知美もいた。単身、ライフテック社のP3施設内に乗り込み、苦闘の末GOOを倒す。
しかしそれは更なる恐ろしいストーリーの冒頭部分でしかなかった…。
バイオハザードとか攻殻機動隊とかアップルシードとかアキラとかいろいろ足し込んでよく分からない数字で割ったような作品。ハードボイルドで外連味たっぷり。冷静に読めばつっこみどころ満載な気がしますが、最後までそのつっこみを許さないまるで雪崩のような展開。ジェットコースターのようなに話が広がりまくるこのカタストロフは、ちょっと他の作品では味わえません。
間違いなく名作。三部作くらいにして映像化希望です。
人類は衰退しました三巻(田中ロミオ)
「どういうことなんですか?電磁波浴びるとだめになっちゃうんですか?」
「そんなかんじ」「あれはくるです」「ひかりとかはへいきなんだけど」「でんじばにはいられぬですな」「むりむりだー」「かきみだされるゆえ」「くるおしくなることも」「いきるちからをうしなうとのこと」「かなしみをもたらしすぎます」「こまるー」「だから」「にげなきゃです?」
人類の衰退が始まって数世紀。人に代わって地上で繁栄を謳歌しているのは「妖精さん」達です。わたしのお仕事は人と妖精さん達の間をとりもつ「調停官」。今回は、クスノキの里の近くにある都市遺跡を調査することに。里には、調査に必要なエネルギーをまかなうため電気が供給されることになりました。しかし、妖精さん達はその電磁波を嫌い、いなくなってしまうのです。
これまでは中編数本で構成されていたのですが、今回は長編一本で構成されています。ゆるい展開に隠れていますが、しっかりとしたSF。というか、かなりシリアスな展開。妖精さんの出現度が、しっかりシンクロしています。今回で、妖精さんの性質が少しずつ明らかになってきたようなこないような。まだまだ謎だらけ。それが明らかになるのかも分かりませんが、次巻も楽しみ。








