西の魔女が死んだ(梨木香歩)
「認めざるをえない」
まいは小さく呻るように呟いた。この言葉は初めてつかう言葉だ。まいはちょっと大人になった気がした。
「それは認めざるをえないわ」
まいはもう一度呟いた。これですっかりこの言葉を自分のものにできた気がした。
もう学校には行かないという中学生のまい。まいは、おばあちゃんの元で暮らすことになります。おばあちゃんは、自分には魔女の力があると言い、そこで、まいは、魔女の修行を始めます。
おばあちゃんは言います。「魔女になるためにいちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。」
自然と共に暮らすおばあちゃん。シーツはラベンダーの茂みに干します。そうすれば、シーツにラベンダーの香りが移って、よく眠れるそうです。おばあちゃんの作るジャム、キッシュ…。育て、作り、食べる生活。
そこには、知恵があり、力があります。
表題作の『西の魔女が死んだ』と、その後のまいの話を描いた『渡りの一日』の二編。大人になってから読んだ方が、心にしみる童話かもしれません。
家守(歌野晶午)
あなたなんか滑って転んで尻餅でもつけばいいのよ-。
ただ、そう思っただけなのに。
- 人形師の家で
子供の頃、人形師の家で消えたサトルはどこに…。
- 家守
それは、事故なのか他殺なのか。
- 埴生の宿
持ちかけられた奇妙なバイト。その結末は…。
- 鄙
官能小説家朝倉恭一と弟でマネージャーの順二が、旅先の温泉町で遭遇した事件。
- 転居先不明
「誰かに見られてる」。その視線の真相は。
家や土地にまつわるミステリ5編を収録
なぜか、この本が部屋に二冊あります…。本のタイトルの印象から、もっとホラー色が強いかと思い、手元に置きながら、読むのをためらっていたのですが、どの話もしっかり推理小説でした。
- 「人形師の家で」…展開の捻れが素晴らしい。
- 「家守」…これは、話が読めてしまいました。
- 「埴生の宿」…この話が一番好きかもしれません。ラストが切ない。
- 「鄙」…しっかり探偵役も出てきて、推理小説っぽい。
- 「転居先不明」…都市伝説のような。オチもある意味型通りなのですが、ニヤリ。
どの話も、後味は良くありません(おそらく、それが狙いなのでしょうが)。
根ざすところが悪意ではなく「場」にあるからでしょう。なんともやりきれないような。
46番目の密室(有栖川 有栖)
「人を殺したい、と私自身が思ったことがあるからです。」
日本のディクスン・カーと呼ばれる密室推理小説の大家真壁聖一の別荘星火荘で毎年催されるクリスマスパーティー。そこで、起きる密室殺人事件の謎を、火村とアリスのコンビが追う。
臨床犯罪学者の火村、推理作家アリスのコンビが活躍する最初の事件です。
このシリーズ、いつか読もうと思いながら、積読でした。
探偵と助手、雪山の山荘、密室殺人と正統派推理小説のギミック盛り沢山。
火村とアリスの会話が軽妙で、テンポ良く読めたのですが、ちょっと、トリックが弱いかと。探偵がいなくても、警察だけで、解決できてしまうような気がします。警察より早く真相を見抜いたところがミソなのかもしれませんが…。動機も、あれが伏線だったなんて…。
まぁ、世の中には、「巨大な蛸がついていた」なんて小説もあるそうですから。そんなミステリのネタが満載だという作中に出てくる『ロックド・ルーム・マーダーズ』。これは読んでみたいですねぇ。








